なぜだかいつものようなロックではなく、ウエスタン映画に出てきそうなバー風のブルースがかかる店内・・・。なんか今日は店の雰囲気が大人である。そしてほどなく客席の照明がゆっくりと落とされSEの音量もフェードアウト、観客の目が自然とステージへと向かう・・・。この瞬間が好きなんだよな、言い表せれないくらいのワクワクとドキドキでごちゃ混ぜになるようなこのライブ前の静寂。 「こんばんは、ハイリミッツです。よろしくお願いします。」 元々ハイリミッツというバンドが持ってる音楽的な幅の広さっていうのは、休みの日に市内の中古レコード店をウロウロしてるような大人も唸らせるものだと思うし(例えばビートルズとかはっぴぃえんどのような良質なポップサウンドを踏襲してるのはもちろんのこと、ブルースとかフォーク的なアプローチまで・・・ってバンドなんだもん。)、ボーカルの鶴坊の声のあたたかさ、そしてどこか懐かしい感じがするメロディなんかは誤解を恐れずに言うならばスピッツや奥田民生なんかと通じるところがあると思うんだよな。(って言うことは大人から子供まで、まさに老若男女に受け入れられていいはず!なんだよ。知らないというのは不幸なことだ。)そしてそんな彼ららしいテイストを一曲にぎゅっと凝縮したような曲がこの『たんぽぽ』。 どこまでも響いていきそうな伸びやかなボーカルとそれに絡むコーラス、もうひとつのメロディを奏でるかのようなベースライン。そしてここぞとばかりに泣きのギターソロを展開するギターと静かに目を閉じてゆったりとしたリズムを刻むドラム。前列で聴き入るかのようにゆっくりリズムにのる女の子が視界に入る。ホント何回聴いてもいい曲だ・・・はやくも1曲目で涙が出そうになった。 「ロックフェス・オオスということでね、1曲目からバラードで行きました。」 『グットモーニング』『NOCONOW!テレパシー』とポップな曲が続き、心地よい空気に会場全体が包まれる。そしてどこからともなくチープなリズムトラックが流れ出しベースがXTC風のクセのあるフレーズをループさせ、ディスコテイストな『ホリデー』が披露される。この新アレンジにはビックリ!メンバーも新しいおもちゃに出会ったみたいに生き生きとしてる(笑)。しかしこんなにいろんな感じの曲をやってるのに、どの曲もハイリミッツがやることで彼ららしくまとまってしまうのだから不思議だ。そしてそんな楽しそうな曲の次は一転して大人な雰囲気が漂う『上に立つ』、最後は軽快なドラムで始まる『アナログラブレター』で締めくくり。会場からはシャッフルのリズムに合わせて手拍子が起こり、それは曲が終わるまで続いた。 あーあ終わってしまった。楽しい時間ほど早く過ぎてしまうのは知ってたけど、いつもハイリミッツのライブの時は「え、もう終わり?」って感じがするんだよな。でもダイジョウブ!早くも次回名古屋ライブが決定してるのでご安心を。今回のライブレポはできる限り間口を広げて書いてみたつもりなので、いろんな表現が混在してるけど実際ハイリミッツはこんな多彩なバンドなのです。もしあなたがこの記事を読んでひとつでも気になる単語を見つけたのであれば損はさせないですよ。ごちゃごちゃ言う前に集合!ハイリミッツワールドに足を踏み入れちゃいなよ。
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