犬神サーカス団

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6月11日、犬神サーカス団が約1年ぶりにワンマンでやってくる。今回はメンバー全員にインタビューすることができた。今回はメンバー全員に、アルバムの事、ツアーの事を中心にお話をうかがった。予定よりも長い時間濃いお話をしてもらったので、Web版オオスプレスではほぼノーカットでお届けします。


―まずは2月にリリースした『形而上のエロス』についてお聞きしたいのですが、前作『スケ番ロック』とは打って変って哲学的なタイトルですね。

犬神 明(以下明):形而上っていうのが、この世のものでないものって意味で、そういう物体じゃないもので我々のエロスを操っているのは何なんだろうか?と。それは死ぬことなんじゃないか、と。

―死、がテーマですか?

:そうですね。だから入っている曲も大体死にたくなっちゃうような歌ばっかりなんです(笑)。

―サウンド的なコンセプトっていうのは、まあ今回に限らずですけど、毎回決めてからアルバム製作に入るんですか?

犬神情次2号(以下ジョニー):いや、そうでもないですかねえ。自然と出てきたものを自分達でやるとどういう形が一番ベストなのかっていう事でやってますね。

―アルバムの1曲目『今宵も呪いの幕が開く』ですが、『地獄の子守唄』に入っている『見世物小屋口上』に比べて設定が現代風になっている気がするんですが。

:前はサーカスといっても見世物っぽい感じだったんですが、今回のは動物の声とかが入っている事によってもっとアカデミックな・・・

犬神凶子(以下凶子):規模が大きくなって。

ジョニー:木下(大サーカス)ぐらいはありますね(笑)

―どちらの曲も最後に「お代は見てのお帰りに」とあるのですが、これは楽しませる自信のあらわれでしょうか?

凶子:見世物小屋って、とりあえず入れるだけ入れて、お金を払わないと出れない。でもお金払うまではずっといてもいい所なんですよ。

ジョニー:今はタダで音楽がいっぱい聴けちゃったりするじゃないですか?でも、聴いてもらって、良かったら買ってくれよ、っていう。(笑)

―『恋唄』という曲が入っていますが、犬神サーカス団にしてはストレートなタイトルだなって思ったんですが、内容は犬神らしいというか、これはDVの歌ですよね。今後凶子さんが一般的な幸せな恋の歌を歌う事はあるんでしょうか?

ジョニー:でもこれって一般的な幸せの歌なんじゃないかなって思って僕らはやってるんですけど。

―この歌の主人公は多分幸せだと思うんですが、そのー・・・

:ラヴ&ピースみたいな(笑)

―(笑)曲があったら面白いんじゃないかと。

:面白い、ですけど、皮肉になっちゃわないかな(笑)

―確かにそうかもしれませんね(笑)。『親愛なるあなたへ』に出てくる人名は実在の方々ですか?

:元々は不幸の手紙が届いたんですよ、ウチに。

―えっ実際届いたんですか?

:ええ、で、それでは外国人の名前だったんですよ。「ニューイングランドのだれだれがなんとかこうとかして7億ドル手に入れました。」とか。それをちょっと古臭い名前にしてるんですが。

凶子:あと、固有名詞が入ってると、自分の生活とはかけ離れた内容であっても、ぎゅっと近くにくるような印象が与えられるというか。

―僕も20人に手紙を送ります・・・(笑)

ジョニー:つまりはこのCDを聴いたら20人にこのCDを送らないといけない、みたいなところがあるので(笑)。

―あ、単価計算します(笑)

ジョニー:これはデータではまずいので。やっぱりジャケットもちゃんとある製品でですね・・・(笑)

犬神ジン(以下ジン):ジャケットもちゃんとスキャンして・・・

一同:それじゃあ駄目だろ(笑)

―犬神サーカス団の音楽性についてうかがいたいんですが、メンバーのみなさんそれぞれの好きな音楽っていうのは結構違ったりするんですか?

ジン:まあバラバラっちゃあバラバラですね。みんな特に「俺はこうだ!」っていうのはあんまないですよね。

:21世紀になっちゃうと、まあ、まだちょっと早い話かもしれないですけど、20世紀の音楽ってみんな一緒くたにされると思うんですね。今は60年代、70年代、80年代、90年代っていう分け方があるじゃないですか。それがもう全部一緒にというか。その中で僕らが聴いてきたものとか好きだったものがミックスされて出てきたのが僕らの音楽っていうか。

ジョニー:最終的に凶子が歌えば犬神サーカス団になるので。

凶子:逆に言えばメタルにも入れないし、ビジュアル系にも入れないし、どこにも入れないですね(笑)。

―オンリーワンですね(笑)。でもどこにも属さないメリットはありますよね?いろんなイベントに出れますし。

ジョニー:そうですね。球種は多いんですけど、決め球を持ってない、みたいな(笑)

:器用貧乏な・・・

―それじゃ駄目じゃないですか(笑)

ジョニー:まあそんな状況でも自分達はそんなに悩んでいないっていうか、いろんなことやれて楽しいけど歌が入ればそれが犬神サーカス団という印象は変わりないと思うんで。

―それでは今度のワンマンツアーを含めたライヴについて伺いたいんですが、前回の『スケ番ロックパーティー』はかなりの本数を回られたと思うんですけど、終えての感想はいかがでしたか?

凶子:個人的には・・・良かったですね。(笑)やって良かったと思います、バンドにとって。大体が30分から40分、長くて1時間ぐらいの対バン形式のツアーだったんですけど、なんていうかライヴ体質になっていくから、身体が。

―ステージ上での感覚みたいなものですか?

ジョニー:そうですね。ライヴ感みたいな。

凶子:バンドがまとまったね。

ジョニー:毎日のようにライヴが繰り返される中で、一本ライヴが終わったら、「あーここはこうだったな、こうしよう」っていう課題を各々が持つじゃないですか。それが47本やるうちに徐々に修正されていくんですよね。それは徐々になんでやってる本人たちとしてはあんまり気付いてないんですけど、東京から始まって、えーと前回は大阪がファイナルだったんですけど、その前に東京があって帰った時に、周りから「やっぱ全然変わったね」って言われるんですね。僕らとしては同じ事を47本やってきただけだからあんまり変わった意識とかはもっていなかったんですけど、終わってみて、ツアーの最初の方にとったビデオと最後の方のビデオを見比べるとやっぱり全然違うんですね。成長はできるものなんだなあって思いましたね。

:やっていく中でやる事が整理されていくんだと思うんですよ。この曲のここはこっちのシンバルを叩くって決まっちゃうんですよ。

ジョニー:あとは自分たちが各地に行けることも大事ですし、行った先のお客さんたち−「犬っ子」って呼んでいるんですけど−に会える、こっちから出向けるっていう喜びは最高ですね。北海道とか九州の方はなかなか来られないでしょうし、そういう所が細かく周れたってのは良かったですね。体力的に大変だった部分もありましたけど、凶子も最後まで声もちゃんと出たし、そういう面でも自信にはなったんじゃないかなあ。

凶子:ところどころ、「あー全然出ない」って思っても、ちゃんと復活したりして。あー大丈夫なんだなあって。最初は絶対途中でやべえかも、注射しないとって思ってましたけど、結構強いなあって思いました。

―毎日会ってると太ったことに気付かないけど、久々の人に会うと「太ったな」って言われるみたいな(笑)

:やっていく中でやる事が整理されていくんだと思うんですよ。この曲のここはこっちのシンバルを叩くって決まっちゃうんですよ。

ジョニー:あとは自分たちが各地に行けることも大事ですし、行った先のお客さんたち、「犬っ子」って呼んでいるんですけど、に会える、こっちから出向けるっていう喜びは最高ですね。北海道とか九州の方はなかなか来られないでしょうし、そういう所が細かくまわれたってのは良かったですね。

―各地のおいしいものも食べれますしね。

ジョニー:それはもちろん。

ジン:・・・7キロ太りました(笑)3ヶ月で。

―えっ。ツアーをしてると消耗も結構しますよね。

ジョニー:うーん、まあ太れるって事は健やかに、生活していたんでしょうね。(笑)体力的に大変だった部分もありましたけど、凶子も最後まで声もちゃんと出たし、そういう面でも自信にはなったんじゃないかなあ。

凶子:ところどころ、「あー全然出ない」って思っても、ちゃんと復活したりして。あー大丈夫なんだなあって。最初は絶対途中でやべえかも、注射しないとって思ってましたけど、結構強いなあって思いました。

―今回のツアーはワンマンで10ヶ所ですが、内容とかはもう練られてますか?

:こないだ一発ワンマンやったんですけど、そのへんを元にツアー用に再構築しようかなって思ってます。

―基本的には新しいアルバムの曲も多めになるんでしょうか?

:そうですね。中心になると思います。

―名古屋は丁度ファイナルの前ですね。

ジョニー:熟して一番いい時ですよ。

:もうどのシンバル叩くか決まってる頃ですよ(笑)

ジョニー:どの辺弾くか大体決まってます。

ジン:それは最初から決まってるよ!(笑)

―コード変わっちゃったらまずいですよね(笑)ちなみに名古屋っていう土地についてなにか印象があれば教えていただきたいんですが。

:あんまり人気ない頃にに来た時に、出待ちのお客さんがいて、「キャー」みたいな感じは名古屋が最初だったですね。

凶子:ですね。車で行くときとかに、大スター!?みたいな(笑)

―それでは最後に、もう観に来るわって決めてる人ももちろんですが、まだ犬神サーカス団を観たことがない人も含めたみなさんにメッセージをお願いします。

:うーん、結構勇気がいる事だと思うんですよ(笑)。僕だったらやっぱり勇気がないなあって思うんで。でも、実はそんなことはないです。だから是非!勇気を振り絞って来たら、暖かい世界が待ってるので、来て楽しんでもらえるといいなあ。

凶子:一人で、来たらいいと思う。その人の純粋な感想とかを感じて欲しいし、それぞれのペースでノッていただいたらいいと思うので。それぞれの世界にも入り込めるし。私たち、いるしさ、一人でも全然大丈夫だからおいでよって感じですかね。

―なるほど、私も楽しみにしてます。ありがとうございました。

インフォメーション
 

6月11日(日)@ell.FITSALL
犬神サーカス団 平成十八年度単独興行巡業〜形而上のエロス〜

open17:30 start18:00
前売\3500 当日\3800(without drink)
Ticket Now on Sale!!

 

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