0から創るコモンセンス第6回

 出張で東京に来た。仕事はフリーの耐火材施工職人見習い。海岸沿いの工場でディズニーシーの岩を耐火した。今回は下北や渋谷などではゆっくり遊べはしなかったが いつも通りこの街の「タイトな空気」は感じられた。立ち並ぶシャープな巨大建築物、湾岸の半端じゃない自然渋滞、他人の事など気にしてられねえっていう目をした電車を待つ人々。みんな何か鋭さを持っているように思う。

 なぜだろう、オレは東京に来ると不思議と安心感を覚える。この街の人間は、自分の事でいっぱいで、他人の事などかまってられない。そのかわり、物資は最新の形で 絶え間なく供給される。だから自分で何かをやる事が大好き(=自分が大好き)なオレにとってこんな都合のいい場所は他にないのだ。

 この街では人間関係は自分の利害関係から作られる。親友とは一緒にいて最も利益のでる人間だ。そいつと酒を飲む時に、ここぞとばかりに人間臭さをさらけ出す。とても合理的だ。みんな生活の為必死だ。当然と言えば当然だ。ただ、オレは一つ疑問に思う。みんな何を媒体にするか?だ。慣れ親しんだ街や家族と離れて、何でわざわざ自分を捨てに行かなきゃならないのか。何の為に?人生じっくりと自分と向き合う方が必ず強い人間になる。

 オレも近い将来東京に行くだろう。けどそれは、新たな自分をどうこうって事じゃなくて、今まで作ってきた自分をさらけ出す場所をやりやすい場所に変えるだけだ。