少し開演が長引いたこともあってか、会場が暗転し、お馴染みのSEが流れ出すと、たまりにたまっていた観客のエネルギーが一気に爆発。登場してくるメンバーに怒号ともつかぬ大歓声を浴びせる。そしてそのまま、一曲目、「It's
not like me It's not like you」が始まると会場のボルテージはいきなりの最高潮に。Gt陣・HIROとMORIの奏でるポップで美しいメロディにあわせ観客は盛んに手を振りかざし、Voの月森はあいかわらず艶のある声を聞かせてくれる。これは後で分かったことなのだが、この日Voは風邪で体調を崩していたらしい。不覚にも私はそのことを聞かされるまで、その事実に気付くことができなかった。続く曲は、一転してへヴィな「Plastic
Monkey」、「Countless trigger」。Ba・TAKUMAとDr・KENJIがタイトなリズムを刻む。純粋に上手い。観客はへヴィなリフにあわせてジャンプする者やヘッドバンギングする者が続出している。こういったへヴィな一面もwyseの魅力であることは間違いない。
ヘヴィな曲の連発で一気にヒートアップした会場も、続く「slow time」、「19回目の夏に僕に見えてたものと見えなくなったもの」といったスロウなナンバーで一休みといったところ。しかし、「今年中に音源を必ず出します。」というMCに再び大歓声があがる。そんな嬉しいMCに続いて、新曲が始まった。wyseのメロディックな魅力満開のキャッチ―な曲である。観客もためらうことなくノッている。そして何よりメンバー自身が楽しそうに演奏しているのが印象的だった。その後も、「Trust」、「with・・」といったwyseのライヴで定番の曲が続く。特に「with・・・」ではVo月森の声がやはり光っていた。しっとりとしたナンバーをあの甘い歌声で切々と歌い上げる。とても風邪をひいているとは思えないパフォーマンスである。しかし、Vo月森の声の調子が悪いからといって曲が大崩れしないのは、やはりメンバーの演奏力の高さ故なんだろう。さらにここで、先程に続いて嬉しいMCが。「次のツアーまたここで、クリスマスイヴにやります。」とのこと。静かな曲に聞き入っていた観客から、再度の大歓声。そしてそのまま、「A≦nd
Crash!!」、そして新曲とへヴィな曲がまた立て続けに演奏される。待ってましたとばかりに会場のボルテージは再び最高潮に達し、ジャンプやヘッドバンギングの嵐が吹き荒れている。「まだいけるか?」というVoの煽りに観客も疲れを見せず応え、メンバーもその観客の熱に応えるようにステージ狭しと動き回り、全身全霊で演奏を重ねる。そのまま怒涛のように本編終了。その後2回のアンコールに応え、大歓声に包まれて彼らはステージを去っていった。
しかし、客電が点いたにも関わらず、観客の拍手と歓声はいつまでも鳴り止まなかった。今回はその観客の熱がwyseに再び火を点けることはなかったが、その情熱は今冬のライヴにまで持ち越され、さらなるエネルギーとして放出されるのであろう。
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