この日の会場が異常なほどに暑く感じたのは、風邪をひいていた私だけではなかったはず。本当に明日から12月?って思わず聞きたくなるような11月30日。ell.FITSALLの温度をを上げていたのは間違いなくフラワーカンパニーズ。開演時間より少し遅れて暗転したステージに現れた4人を、意外にもおとなしく見まもる観客。え?と戸惑うのもつかの間、「名古屋市天白区から来ました!」Vo.鈴木圭介の言葉で一気に火がつき1曲目『恋をしましょう』で待ってましたと言わんばかりに騒ぎ始める。嵐の前の静けさだったのか、と私が納得する間もなく2曲目『Mr..LOVE DOG』で更にヒートアップ。Gt..竹安堅一の力強いギターの音と、それに負けないくらいの激しさで踊り狂う観客。こうなったらもう誰にも止める事なんてできない。新曲『YES.FUTURE』、『フェイクでいこう』では無数の拳があがり、怒涛の4連発が終わりMCが入る。一旦、落ち着くのかと思いきや、休む時間を与えずにすぐ『冬のにおい』、『NO
BLOOD MAN』と相変わらずアップテンポなナンバーが続き、このあたりで私の体温は37℃を確実に越えた。このままいくと倒れるかと思っていたら、ここで懐かしい曲『積もった抜け毛に火をつけろ』でやっとミドルテンポに。妖しげなライトに照らされて独特の雰囲気が広がり、そのまま『モンキー』へ。曲の後半、何かが切れたように暴れ出すメンバー。それに負けじと手を挙げ、飛びまくる観客。お互いにい競い合っているみたいな状態でどちらも一歩も引かずにいる。
ここで3日前に完成したというアルバムの話も。3月頃には私たちの手元にそのアルバムが届くかも?「次の曲はすごく良い曲で、“単なる幸せだ”なんて甘っちょろくない。“絶望ばっかりだけどそれでも生きてやるぜ”みたいな半ばやけくそな感じだ。」と、ツアータイトルでもある『幸せまっしぐら』の曲に対する想いをぶつけ、最初は絶望一直線だった(!)というこの曲の本当の意味を、会場にいた全員が受け止めようと聞き入っていた。その後『東京ヌードポエム』、『真っ赤な太陽』と続いた後、地元ならではのアットホームなMCで場が和む。「すべての人へ。」と言った『少年』ではDr.ミスター小西が、歯を食いしばりながら全身でリズムを刻み、その音がなぜか切なく胸にささり、観客も金縛りにあったように動けないでいると、静まりかえった中からいきなりギターの音が響き『あったかいコーヒー』で現実に引き戻され、我に返った。「フラワーカンパニーズ、今日からトークメインのライブにします」なんて言ったりするくらい、今日の鈴木は本当によくしゃべっていた。良い意味でリラックスした感じが伝わってきて、話を聞いていると会場のあちらこちらで思わず笑い声がこぼれていた。
そんなほのぼのしたムードを断ち切るかのように、鈴木の掛け声とドライブしまくりのベースにのってラストスパートをしかける。『ソウルボーンアタック』、『トラッシュ』、『プラスチックにしてくれ』、『ネーナ』と、トドメの4連発でBa.グレートマエカワがステージ狭しと走り回り、会場では人と人のぶつかり合いで、まるで戦場のような光景が目の前に広がり、この日一番の盛り上がりのまま本編が終わった。テンション上がりっぱなしの観客がこのまま引き下がる訳もなく、メンバーを呼ぶ拍手と歓声が響く。このあと歓声に応えるべく3回(!)のアンコールで新曲を含む5曲を演奏し、この日のライブは終了した。
あんなにも激しく盛り上がっていたにもかかわらず終演後、会場をあとにするお客さんの顔に疲労なんて欠片もなく、達成感とも言えるあの満足げな笑顔が今日のライブを物語っているのだと思った。2時間ちょっとの時間が、あっとゆう間に過ぎて、「最高だ!」ってめいっぱい言えた時間。彼らが直球で私たちに投げかけてきたエネルギーは、この日この時間を共にしたすべての人達が全身で受け止め、それは何ものにも変えられない身体の一部分となったに違いない。そして私の、風邪とはまた別にこのライブで上がっていった熱はきっと当分下がる事はないでしょう…。
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