

―まずはバンドのプロフィールから…みなさん広島の出身なんですよね?
「はい、中学校、高校から同じでした。高校の時に一緒にバンドをやってたんですが、それはある意味遊びの延長で、卒業してからはそれぞれ別の道に行って…僕はシンガーソングライターとしてデビューもしてたりしたんですが、4、5年経って、各々まだ音楽をやっていて…一緒にバンドやろうよ、って僕が声をかけて結成したのが97年。翌年にデビューしたんです。」
―当時は下北沢のバンドムーブメント真っ最中でしたよね? そこから路上という場所へ活動範囲を広げたのはどうしてだったんですか?
「僕も広島を出て10年経ちますし、下北沢でもイベントなどでいろんなライブハウスでやってきたものの、正直ホームグラウンドというものがなかなか見当たらなかったんですよ。活動もうまい具合にいかない時期でもあったんで、『じゃあ路上に出てやろう』と。じゃあ僕が広島から出て、ずっと住んでいた横浜(横浜西口相鉄ジョイナス前)でやろうということになって。そこでやっとホームグラウンドができたって感じですね。」
―路上ライブってカレイドスコープのイメージにはすごく合うと思うのですが、実際のところ大変なことってなかったですか?
「そうですね…なかなか人が立ち止まらないこともありましたけど、それも僕らにとってはすごい大事なことだったと思うし…僕らの音楽に対する気持ちとか、目の前にいる人に伝える事がどんなに素晴らしいかということを路上で学びましたね。」
―路上でのアコースティックというスタイルは、今流行っているフォークユニットだったり、"女性向き"というイメージに囚われがちだったりしますが…
「どうかな…路上ライブって、誰が演ってもそれなりの雰囲気はでるし、それに楽しみを見つけても音楽的に何にも広がっていかない、今の日本の路上の現状っていうのはすごく楽な方向に行ってると思う。
僕らの路上ライブでは、圧倒的に女性の方が多いシチュエーションであって、そういう優しい空間に甘んじたくないっていう気持ちがすごく強かったですね。てっとり早く言うともっともっと自分に厳しくしないと、かっこ悪いな、と思いました。まあ、それはわざわざ言うことではなくてスタンスで示そうと思ってやってきたんですけど。」
―そして今年、バンドの基となる1stアルバムが出ました。タイトルそのままずばり"The Kaleidoscope"なんですよね?
「音楽やるってことは、作品作るだけじゃなくて、やっぱり歌って、生で伝えていくこともすごく大事だってことを路上で学んで、やっと出したかった作品ができました。アコギだけじゃないロックな部分とか、これも僕達なんだよ、っていうようなものがしっかりできたと思います。」
―曲の中で、日本語がすごくきれいに聴こえるのが印象的ですよね、どこからこんな素敵なものがでてくるんだろう…と思うんですが。
「僕は自分で絶対に天才じゃないって思っていて、でも自分が好きなものを『どうしてこう好きなんだろう』っっていう探究心、好奇心は強いと思うし、それをやるための煩わしいこと、それをやることは嫌いじゃないっていうか…がんばってやる。努力って好きですね。」
―今年はどんな年にしたいですか?
今年はもちろんリリースをしっかりやっていきたい、っていうのがあるんですが、いろいろなミュージシャンとライブをやれるような、例えばヒップホップだとか幅広いジャンルの人達とも日本語を大事にするっていう部分でシンクロできるバンドになってきたいな。そんなイベントなんかもをやっていきたいなって思います。
―次はFITSALLでワンマンですが…
名古屋マジで好きなんですよ…多分理由はなんとなく分かるんですけど。広島も名古屋も、町の大きさや雰囲気で同じようなニュアンスがあって。広島では妙に構えちゃうんだけど、名古屋ではそういうのもないから、心から楽しめる。実際名古屋にはよく来ているし、是非観に来てほしいなって思いますね。実は移転前のELLにも来ていただいてて、搬入が大変だったこと、トイレが大変だったこと(!)などいっぱい覚えててくださった石田さん、In
the Soup(メンバーと仲が良いらしい)の名古屋初ワンマンのこと(お客さんは入りきらなくて急遽1FのELLへ会場が変わったのです)なんかもしっかりチェック済で、ライバル心を燃やしてました。
一時のムーブメントに甘えず、改めて原点に立ち返って「伝える事」の素晴らしさを知ったThe Kaleidoscope、そのタフで美しいメロディーでFITSALLが満たされます。一緒にその空間を共有しにきてください。
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