ニューヨーク特派員報告
第14回

革命の皐月


5月病の季節、マリワナパレードの時期がやってきた。ここニューアムステルダムでは、朝も早くからポットスモーカー達がワシントンスクエアに集いブッ飛びながら行進するのである。列からはみ出すと最近やけに五月蠅いNYPDに罰金を請求されるので御注意!

 自由(個人の責任に於いて)の国アメリカでは、州によって法は異なるものの薬物文化のギャップは日本人の想像を絶するものがある。特に80年代末にはストリートに安物のヘロやコケが溢れていて好奇心旺盛な時期に人体実験してしまって痛い思いをした輩も少なくない。今だ、アルファベットシティには、経済的にダウンを目的とする注射針使用者のために、新品をエイズ予防のため支給する施設があるし、ヘロ中毒はアル中と一緒で、無料で治療してくれる施設もある。僕の知人は殆ど高校で止めた人が多い、つまり子供のお遊びなの(トルエンよりはずっと健康的)である。誰もカナビスをケミカルとは定義しない。

 マイクブルームバーグ市長は先日の一面に、「吸った事アル。楽しんダヨ!」と、蝦蟇へる調ビジネスマンの2年前の発言をクォートしたガンジャ解放の施行を促すポスターが取り沙汰された。かつて「マッカトニー!!マッカトニー!!」と東芝カラーテレビからの悲痛な70’sギャルの叫び!大麻所持!!初の日本ソロ公演は逮捕。ついで、野口五郎、郷ヒロミそして研ナオコと続く大麻汚染。オイルショック後の社会はあの単純に覚醒剤と一緒にしてしまう世間の暴力的無知さはインファントだった僕には諸行無常。ポリチカルエネミの悟とく大衆媒体によって磔にされる芸人達も気の毒だ。

 文明の利器が齎したコンビニエンスは我々に生きる事の意味を強要しがちだが、フラワームーブメントに代表される反資本主義を掲げた米ベビーブーマー達は、恍惚と喧騒のケムリにファズかけてビブラートした精神の解放とそれらが次世代に与えたADDで、そのデレンジされた方法論をも飲み込むマンチーズと化した。宇宙に燦爛と散ってるティモシー博士の脳味噌は温室効果ガスで霞んで良く見えないけど、消費するだけの恍惚なら、涅槃に溢れてるかもしれない。しかし、水栽培ものは柑橘系の香りが乾きを癒してくれる。これがエーリッヒフロムが最終的に理論化した「所有放棄の快楽」?

 驕傲と勇敢、粗野と率直、固陋と実着、浮薄と穎敏、野口と五郎、テとラハイドロカナビナルは、アンビバレントでインコンシステンシーだ。僕が思春期だった80年代の日本は、薬物といえばエフェドリン、ハルシオン、睡眠薬、ひどいもんは8X4、シューグー。しかし、ドアーズをはじめとして、ぼくの好きだった外タレロックンローラーや文学の世界で薬物なしで語れない人は少なくなく、ひたすら書物と音楽からその多幸感とキックバックを嗅ぎとっていた行為は、精神世界から何かを期待していたフラワーな人々からでたバァイブレイションだったのだろう。結局、そのカウンターカルチャーは敗北し、実利主義の権化達は未だにミサイルをぶっ飛ばしている。民衆は騙されてはいけない、政治家はとても教育されているから、民衆は負けてはいけない、人生は短すぎるから。耐性化された科学的な日常は、ただの思い過ごしに過ぎなく、我々はただただパレードあるのみだ。


モクノアキヲの参加してるElectro Putasのエイプリルフールのライブはトリプルスクリーンの投影も好評で満員御礼!!5/10にあのファンシーな観光地と化したタイムズスクエアに、唯一残るストリップシアター(42st.8AV)にてライブします。毎月第一月曜の夜Parksidelounge(houston st&arttorney st)にて、MCも担当。
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