Stereo Fabrication of youth

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9月26日に東芝EMIからリリースされるメジャーファーストアルバム「Audity」は、彼らが今まで重ねてきた経験、出会った人々、そういったものがリアルに聴き手に伝わる作品になったようだ。

江口「アルバムはこう、開いたアルバムになったと思うんですよ。自分たちがやれることはすべてやった。自分がいいなって思えた音楽を自分の音楽の中で素直にシンクロできたって思うんですよ。間口が広がってミドルからスローへ、かといって速いのもあって。『いろいろやって大丈夫なのかよ』って言われかねない、でもそれさえも分かっている、いい作品になりました。作品に夢があるんですよ。ツアー回っていろんな人の顔を見れたおかげですよ。音源をつくりながら聴いてくれる人の顔が浮かんじゃうんだから。」

今回インタビューをお願いしたのはバンドのブレインでもある江口(Vo.G)だ。彼はいつものように饒舌だったが、ひとたびバンドの置かれている環境という話になると、いつも以上に辛辣だった。キツい言葉を発することで、改めて自分たちを奮い立たせてる、そんな感じだ。

江口「1年2年前までは、メジャーデビューって華やかで夢のあるものだと思ってたんですよね。TVだって雑誌だってそう言ってたし。でも、実際はどうも違うぞと。言うなれば『飲めば強力な効果があるけど寿命が縮まるクスリ』のようなものだと。」

確かに、メジャーデビューという言葉は今や魔法の言葉ではないだろう。なにしろインディー・デビューという言葉もあるくらいだ。CDを有名レコード会社から出そうが、自主制作で出そうが、売れたもんが勝ち、そういうご時世なのだ。メジャーという言葉の上にのんびりあぐらをかいているようなバンドはあっという間にサヨナラだ。

江口「そんなクスリに頼らなくても自分たちにはお客さんやスタッフ、レコード屋やライブハウスの人たち、支えてくれる人がたくさんいてくれる。そんな中、4月にリリースした『1979』(自主制作CD)の反応が物凄くよかったんですよ。僕らの知らない色々なところにも広まってった感じで、自分たちの周りの人間が、僕らの音楽を繋ぐための動きをしてくれるっていうことがいかにデカいことか、というのを思い知らされたシングルだったんです。

江口『ああ、じゃあ次の時はもっとより多くの人に僕らの音楽を届けたい』って考えたら、たとえば流通手段や宣伝手段というところで、どうしても誰かの助けをかりたいな、と思ったんです。」

メジャーデビューすることで、全国どこででもステファブのCDが買えるようになる。それも人任せにするんじゃなく、より確かなものにするためにステファブはまだまだ動く。江口を代表とする新会社『ファブリーク』を立ち上げたのだ。

江口「僕達の意思表示として見てもらいたい。『大』に巻き込まれるんじゃなくて、対等にやりあうためには、自分たちにも社会的な責任をあらわす形が必要だって思ってて。自分たちが1段階あがるためには、そういう形式上のものも必要じゃないかって思ったので、自分たちのCDやビデオを作る制作会社をつくろうと。夢みたいなことを言っちゃえば、すごいヤル気あるバンドのいい窓口になればいいと思ってる。現状名古屋にはそういうの少ないしね。そこまで見据えての会社だったりする。」

江口「全ては自分達の手で」というインディペンデントの精神とスタンスはこれまでと変わらないというわけだ。ただ、気になるのは、冒頭から聞いてきたような「マネージメント」の側面と、良い曲を作って演奏をするという「アーティスト」としての側面、果たしてこの2つのバランスをとっていけるのか?ということだ。

江口「実際、メシ食えなくて辛いって思ってるヤツらの音楽にはやっぱり鬼気迫るものがあるんですよ。僕ら、アルバイトをしないと食っていけない、それでも音楽がやりたいからやるわけであって、その二つは常に背中合わせというか、むしろダブってるんですよ。今回会社を作ったことで、アイツなにやってんだプレイヤーのくせして、って言う人はいるかもしれないけど、それはちがう。自分の音楽を守るために自分が動くというのは当然のことだ、って僕は思うんですよ。」

江口、語る語る。たしかに言うことは正しい。理想的だ。しかし、中にはそれを机上の空論だ、できるわけねー、とやっかみ半分で笑うヤツらもいるわけで。なにより「全ては自分達の手で」ということは、CDやライブの出来不出来が全部バンドに跳ね返ってくるということだ。それに対するプレッシャーはないのだろうか。10月26日にはell.FITSALLでワンマンライブも控えているわけだが。

江口「それが現実、気が張ってて良い状態だと思う。言った分だけ自分にのしかかることは分かった上で言ってるんですよ。でもこれは幸せなかことですよ。CDが売れれば、バイトが1日減らせる、そういうことが、自分にすべてがゆだねられてるんですよ。

江口ワンマンライブはどうやろうかな、って今から楽しみですよ。自分たちのショーを完成させることができるのはまだやっぱり名古屋でしかないんですよ。「あー、昔の曲も聴きたかったなー」なんて絶対言わせませんよ、でも「新しいのもよかったね」って言われたい!みたいな。これまでの中で固まってきた僕たちと新しく挑戦する僕たち、どんなライブをみせようか、ワクワクですよ。」

自分の愛する音楽のために自分が動くんだ、という強い意志とビッグマウス(笑)を携え彼らはゆく、より多くの人たちにStereo Fabrication of Youthの音楽を届けるために。彼らの明確な意思表示を受けた我々は何をするべきか?黙ってはいられない!CDで、ライブで、自分達の愛する音楽のために自分達が動こう。


インフォメーション
  待望のステファブワンマンライブだ!
10月26日(日) Stereo Fabrication of Youth
guest:farmstay

open18:00 start18:30 ad\2000day\2500(without drink )@ell.FITSALL
Ticket Now on Sale!!
 

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