ライブレポート 2004.12.18.sat@ErectricLadyLand 風味堂 写真

風味堂 写真心待ちにしていた風味堂の出番がついにやってきた。この日のライブは風味堂、FREENOTE、東京60WATTS、チビロクジャンボ、PHONESの5バンドで、風味堂がトリ。Vo&Piano渡和久、Ba&Cho鳥口マサヤ、Dr&Cho中富雄也とちょっと変わった編成の3人組がステージに現れると、会場からは待ってましたとばかりに大きな拍手が沸きあがった。

暗転し、流れ始めた曲は『ライブがはじまる』。弾けるようなピアノソロに低音が響くベースソロ、スティックが自在に踊るドラムソロと、風味堂3人の個性がぶつかり合いながら、会場の雰囲気は風味堂色に染まっていく。そして演奏は『眠れぬ夜のひとりごと』と続く。軽快なリズムにお客さんの体はゆれ、心は躍る。ピアノ、ベース、ドラムの楽器音が風味堂というフィルターを通り、温度ある暖かい音楽へと変わっていく。

MCでは「次の曲はコール&レスポンスコーナーがあるから。その部分にきたら教える」と渡。お客さんが少しきょとんとしていると「とにかく一緒に歌って!」と思わず本音?を言って渡が照れていた。そんな姿にお客さんは笑って応える。そして始まった曲はそう、『ナキムシのうた』だ。やわらかいピアノの音に乗せて渡の暖かくてせつない言葉が心に響いてくる。もちろん曲の終盤では風味堂とお客さんが一緒になって歌った。そして、最後。演奏が止みお客さんのコーラスだけが流れ、恥ずかしいような、でもうれしいような、不思議な感情に会場は包まれた。

お客さんと一緒に歌い、会場の雰囲気がひとつになったところで、青い光源に照らされ始まった曲は、ピアノの弾き語り『Rainy Day』。少しハスキーな歌声がお客さん一人ひとりの心に沁みわたる。会場の誰もがせつない音の風を感じていたはず。

風味堂 写真

すると今度は、静かな旋律に耳を傾けていたお客さんをちょっと驚かすかのように、曲調が一転。『散歩道』だ。軽やかなリズムはうららかな春の"散歩"を思わせ、思わずスキップしたくなるほど心をウキウキさせる。曲の最後にはお客さんの手拍子に風味堂三人のコーラスが重なり合い、歌い終えた渡和久が思わず一言。「気持ちいい〜!」

風味堂のハーモニーの暖かい雰囲気が残るなか、『涙をふいて』が流れ始めた。まるで打楽器のように鍵盤をたたく渡和久の姿に、胸が熱くなる。鍵盤にはじかれて飛び出してきた音には風味堂の想いがつまっていた。そして、最後の曲は『家出少女A』。アップテンポなリズムに、お客さんの心は弾み、会場の雰囲気は勢いを増していき、流れるようなテンポのままライブは終わってしまった。

風味堂 写真このまま終わらせたくない。会場にいる誰もが感じていたのだろう、拍手は自然とアンコールに変わった。そして、風味堂が本当の最後に届けてくれた曲は『ゆらゆら』だ。「ミュージシャンとして皆にありがとうを言いたい」そんな想いを乗せてステージから流れてくる音色は心地よかった。

胸がせつなくなる静かな曲であったり、心がウキウキする軽快な曲であったり、いろんな“風味”を味わせてくれるバンド、それが風味堂だ。しかも、風味堂のライブ後は自然と優しい気持ちになれる。それはきっと、風味堂の音楽が暖かく、微笑ましいから。そして、そんな音楽を奏でる3人が優しい人たちだから。そんな気がする。また風味堂に会いたい、次のライブが待ち遠しい、心からそう思う。


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