カジヒデキ

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優れたポップアイコンというのは、写真だけで説得力があり、音が鳴る。例えば現クロマニヨンズのヒロト&マーシー。そして今回登場のカジヒデキさんも間違いなくそんな一人だ。さらには、優れたポップアイコンは漫画にも登場してしまう。昔、「ろくでなしブルース」っていう漫画があったんだけど、ヒロトとマーシーそっくりな高校生がいました。最近、「デトロイトメタルシティ」っていう漫画が大好きなんだけど、カジさんそっくりな男の子が、カジさんとしか言いようの無いキャラで登場しています。もはや、皆が共通してイメージするカジさん的なキャラクターというのが存在しているのですね。要するに、ヒロト&マーシーやカジさんというのは、ドラえもんであり、ピカチュウであり、ラオウであり、サザエさんなのだ。我々日本人にとって。


―ニューアルバムの「Towns and Streets」がもう本っ当に素晴らしくって…。ていうか、個人的に相当好きです僕、これ。カジさん的に今回のテーマみたいなのがあれば、まず最初に教えていただきたいのですが。

カジ:「ありがとうございます。最終的なテーマとしましては『街』と言いますか、そのまんま『Towns and Streets』という感じですね。結果的には、自分が今住んでいるロンドンという街の音楽からの影響が強く出たなと思ってはいるんですが、元々は普遍的なポップスアルバムを作るっていうのが、一応コンセプトで。」

―あぁ。それは本当に伝わってきましたよ。

カジ:「おー。そうですか。あのー、いわゆる自分の趣味に走るっていうわけではなくって、単純にポップスの気持ち良さみたいなのを、ただ出せるものにしたいなというのがあって。曲作りの時点から、凄くメロディーには気を使って考えて作ったんですけど。」

―メロディーが日本的と言いますか、良い意味でJ-POP的になってますよね。

カジ:「うん。凄く意識しましたね。」

―ここ何作か、最近のイギリスの音楽からの影響が強く出た作品が続いたんですけど、今回はそれプラス、完全に日本のポップスになってますよね。そしてさらに全体に漂う夏の感じがとても良いんだよなぁ。

カジ:「もちろん影響っていうのは出てしまうし、そういうのが好きでやってるし、もちろん凄く聴いているっていうのはあるんですけど。ただそれだけに、趣味っぽい感じで終わっちゃったら面白くないなぁっていうのは思ってまして。やっぱりリスナーの人に聴いて貰って、楽しんで貰えるモノにしたいなぁっていうのはありますよね。」

―前作のインタビューの時に、カジさんほとんど「テムズビート」とその周辺のバンドの話ばっかり、もう本当にそればっかり喋ってたんですけど(笑)、今もカジさんにとって、「テムズビート」は重要な要素だったりしますか??

カジ:「あのー、そうゆうのどうこうっていうふうには作らないようにしようと思ったんですけどね、最初は。実際向こうでは『テムズビート』って言葉自体はそんなには使わないんですよ。」

―へぇ、そうなんだ。意外。

カジ:「うん。最初の頃っていうか、去年インタビューして頂いたちょっと前っていうか、あの頃ぐらいが、The Hollowaysとかね、Mystery Jetsだったりとかが出てきて、その感じが凄く面白い…みたいな感じで『テムズビート』って言ってましたけど、その後全然言われなくなって。各々のバンドもやっぱりメジャーとかになっていくと、やっぱり皆それぞれの道みたいになっていくよね。でもやっぱりあの辺の、南西ロンドンのあっちの方のアーティストって、物凄く面白い人が多くって、例えば最近だとJack Penateっていう人がいるんですけど。後、Jamie T.がやっぱり大きくって。まぁそうゆうアーティスト…。リリー・アレンとかは日本でもたぶん凄く人気があったんじゃないかと思うんだけど。 」

―あ、僕もリリー・アレン大っ好きです。

カジ:「リリー、凄く良いですよね。リリー・アレンのあのアルバムの感じは理想的なポップスアルバムというか…。凄く色んな要素が入ってるじゃないですか。」

―そう、本当に色んな音楽が…。

カジ:「ねぇ!でもあーゆう色んな音楽が入ってるのに、ポップな感じで、楽しくなる感じっていうのは凄く理想ですね。」

―日本でも「テムズビート」はそんなにでしたけど、リリー・アレンはけっこう盛り上がってましたよ。

カジ:「ふふふ。僕の友達も日本でいわゆる一般的には盛り上がらないっていうのは言ってて(笑)」

―ぶはははは。

カジ:「今回のアルバムもThe Hollowaysっぽいリズムとか、Larrikin Loveだったりとか、あーゆう感じが勿論入ってるは入ってるんだけど、それを特に意識したっていうわけではなくって、自然に出てたら良いなぁっていう部分で。今は前程(笑)、『テムズビート』っていうのは周りに言わなくても良いかなぁとは思ってます(笑)」

―はい(笑)、そうゆうのが消化された、完全な日本のポップスだと思います。去年の年末にですね、今年良かったライブをELLのスタッフと話してたんですけど、カジさんの名前がけっこうあがりまして。事務所内でも、カジさん人気がかなり高まってるんですけど、ライブの時に心がけてる事とか、大切にしてる事って何かありますか??ていうか、お客さんが凄く良いじゃないっすか??

カジ:「やっぱり、お客さんとのコミュニケーションは凄く考えていて。何ていうんだろ、シリアスな感じというか…」

―ロックスター的な??

カジ:「そうそう。そうゆうのが良いなぁと思う時もあるけど、やっぱりわかんない人が喜んでくれて、一緒に参加できるようなっていうか…、何ていうんだろ、あんまり固くならないようにというか、ライブ自体がシリアスになり過ぎないようには心がけてて。できるだけなんか和やかな雰囲気っていうか。で、そん中でも何か感動できるようなところがあったりとか…。楽しくなるようなところがあったりとか…。そうゆう場面場面ができるっていうのが、一番良いライブだなぁって思ってますね。」

―いやー、カジさんはカジさんのお客さんしか知らないかもしんないですけど、お客さんの雰囲気は相当良いですよ。皆、そのまま友達になって、お茶でも飲みに行きたいくらいですもん。

カジ:「ふふふ。それは嬉しいですね〜。こないだ、たまたま僕が招待してライブに来てくれた人にも同じような事を言われて。そんな風に言ってもらえると、本当嬉しいですよね。」


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