ほぼ一ヵ月の間に、The DUST'N'BONEZ、THE PRODIGAL SONS、ソロと3回ELLに登場する森重樹一さん。ZIGGYとしてすっかりお馴染みの彼に、最近の活動について色々聞いてみました。日本最強のロックヴォーカリストにして、日本最強のメロディーメイカーは、とても丁寧にこちらの質問に答えてくれました。個人的には高校時代、どちらのバンドが学祭で『DON'T STOP BELIEVING』を演るかで友人と大喧嘩をし、それ以来、マジに絶交になってしまった身であります。10代の俺よ。君が毎日聴いてるZIGGYのヴォーカルはとても良い人だったぞ。ていうか、マジ過小評価され過ぎなんだよ!!どれでも良いから、お前等聴け!!君が昨日、大手量販店のレコメンに騙されて買ったクソみたいなCDより、100倍は良い事保証します。 ─そもそも森重さん的にこの3つの住み分けはどうなってるのかと。まずは一番謎なのがTHE PRODIGAL SONSなんですけど。 森重:「えっとですね、プロディガルは元々ZIGGYをやってる時からギターの松尾(宗仁)と始めたものなんですけども、今年からですね、ユニットという事ではなく、正式なバンドになったんですよね。これはもうZIGGYとも違うし、The DUST'N'BONEZみたいな音楽性とも違うしっていう。ツインギターによる…まぁブルージィーな言葉が乗っかるロックンロールをやってみようと。丁度今ですね、僕自宅なんですけど、松尾と二人で曲作りをずっとやってたところなんですよ。 」 ─僕、松尾さんとのアコースティックユニットって聞いてたんですけど、違うんですね。 森重:「全然違いますね。アコースティックユニットっていうのは、以前までのスタイルで、今回のツアーからは全員立ちです。もちろんアコースティックな部分もありますし、そういう曲調もありますけど、それに終止するわけではなく…。曲も誰が書くっていう事はなく、松尾も書きますし、僕も書きますし、ドラムの大島も書きますし。良い曲ならば、誰って限定せずにやってますね。だから従来のTHE PRODIGAL SONSしか観た事がない人にとっては、もっとこう何だろ…、普通のって言ったら変ですけど、もっとロックバンド然とした佇まいで、お見せできると思います。 」 ─では、次はお馴染みThe DUST'N'BONEZなんですけど、これは戸城さん主導ってことで良いんでしょうか? 森重:「まあ、メインになって曲を作ってるのが戸城君っていうのはありますけれども…、全員のバンドです(笑)!えーっとだからたけちゃんと、英二と、俺と、憲夫のバンドで、まあ音楽的舵取りは戸城君が取るっていう事です。 」 ─戸城さんの曲を歌うっていうのと、御自身の曲を歌うのとでは、感覚の違いってありますか?? 森重:「違いますよ。あくまでも戸城君の曲の作り方っていうのは、その楽器の…何てんだろ…、アンサンブルの中で歌がどうなるかっていう…曲じゃないですか。僕はシンガーなんで、あくまでも歌が真ん中にあって、それにどう服を着せるかっていうのが、僕の作り方なんです。で、どちらにも良さはあると思うんですが、今までは、ZIGGYの時は二人の作り方を共存させてやってた時もあったじゃないですか。特に2人時代とか。何かそうすると、お互いのものが薄まっちゃうのが凄くもったいなくて。だから歌モノは歌としてしっかり聴かせて、もう一つはより攻撃的な音楽のアンサンブルの中で、僕の個性っていうか、シンガーとしての僕の個性を発揮するっていうような形。だから、より楽器的なアプローチですよね。 」 ─最後に森重さんのソロです。 森重:「ソロは3月の末に2枚組のベスト盤が出ますんで、それの発売に合わせてっていう事ですよね。だからまぁ、あくまでもソロっていうのは通年で活動できるようなものではないし、やっぱ色んな事をやってる合間に、溜まっていった曲で、アルバムを作ったりするっていうのは今後も考えられなくはないですけども、今回はベスト盤に録り下ろした2曲の新曲が入るっていうぐらいで…。アルバムを製作するとなると、詞も曲も全部自分でやるので、それなりの準備の期間が必要になってくるし…。まぁソロに関しては、自分自身へのご褒美っていうか、そんなような感じで捉えてますけどね。 」 ─なるほど。キャリアももう20年を越えてらっしゃると思うんですけど、ここに来てのこの働きっぷり…。御自身ではどう分析されていますか? 森重:「これはもう音楽やるのが楽しいっていう事ですよ。やっぱ色んな良いミュージシャンと知り合って、ホントに今一緒にやってるメンバー、一人残らずミュージシャンとして素晴らしいし。頑なにこういうのがやりたいっていう思いよりは、どんな形でその音楽を歌う事が出来るか…、その方が僕にとってはトライアルとして面白いんですよね。一般的には出来上がってると思うんですよ、シンガーとしての僕のイメージって。佇まいであったり…。だから、別にそれをスポイルしないようなタイプの音楽であれば、色々トライしたいし。The DUST'N'BONEZに関しては、丸5年くらいかな??なんで決着というか、出るとこ出て勝負したいなっていう思いは凄くあるんですよ。THE PRODIGAL SONSに関して言えば、この1月からっていう感じですよね。今まではZIGGYの中のユニットとしか見られてなかったし、俺と宗仁の趣味みたいに思ってる人もいるかもしれないけど、そういうんじゃなくて。年齢を重ねていくたびにね、体力は衰えるわけじゃないですか、人間。どんなに抗ったとしても。でもね、年齢を重ねる事でしか魅力的になっていかないものってあるじゃないですか。だからそこを考えると、THE PRODIGAL SONSっていうバンドは非常に長い軸で、見て欲しいなと思ってるんですよね。だから、ある種若さと対極にある枯れとか老い…、そういうのを渋くやるんじゃなくて、エネルギッシュにやりたいというか…。そういう感じですかね。 」 ─それでですね、これだけ色々やってて、何でZIGGYはやらないんだっていうのは、多くの人が思ってるはずなんですが… 森重:「うん。これはね、幾つかのインタビューでも答えてるんだけど、今のZIGGYっていうのは3人なわけですよ。僕とJOEと宗仁で。でね、ソロの中でJOEと僕の接点っていうのはしっかりあるわけですよ。でね、宗仁と僕がやってるTHE PRODIGAL SONS、そこにも二人の音楽的接点があるわけです。ところが、宗仁とJOEの間には接点というよりは、目指す道が明らかに違うんです。本人達が人間的に好き嫌いとか、そんなもう子供じみたレベルは全く越えていて、ミュージシャンとしての彼がこれからも叩きたいと思ってるドラムをJOEには叩いて欲しいし、宗仁がギタリストとして、極めたいスタイルを極めて欲しいし。その岐路に来たので、ZIGGYは活動を休止したっていう事です。だから純然たる音楽的な理由ですね。やっぱりJOEと音楽をやるなら、JOEのドラムを活かした音楽をやりたいし、そこにいるべきギタリストが松尾宗仁かって言ったら、僕は「?」なんです。そして、松尾宗仁が描きたい音楽を一緒にやっていく…、もちろん僕は彼とやってるような音楽スタイルも大好きだからね。その時に叩くべきドラマーは、もしかしたらJOEじゃないのかもしれない。そういう事なんです。だからZIGGYっていう看板があって…。ZIGGYやるのがね、一番そりゃ商売的にも、周りのスタッフにとっても良いはずなんですよ。ただ、僕等ミュージシャンなんでね、全員で何かを作ってく時にね、音楽的なモチベーションとか、やっぱりこうパッションみたいなものを感じられなければね、それはもう看板に泥を塗ってくようなもんだと思うんですよ。だからそれをしたくなかったからこそ、この間のアルバムで一旦ケリをつけて、ていう事なんですよね。 」 ─ではライブに来るファンの皆さんにメッセージをお願いします。 森重:「もうELLにはね、今の店舗になる前からずーっとお世話になってて。やっぱ名古屋って言ったらELLでしょっていう老舗感もありつつね、名古屋のロックシーンを支えてるっていう。ある種の聖地だよね。本当に良いライブにしたいなって思います。それはどこでやっても同じなんだけど。後、ライブって絶対にやり手側だけで作ってくものじゃないからね、ファンの皆の良いライブにしたいっていう思いがあると、その気持ちで凄くライブは変わるから。だからファンの皆も、ライブを一緒に作ってるんだって思って欲しいですね。 」 |
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