九龍

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結成以来、ELLではお馴染みとなっている九龍。それだけに、何度もインタビューを受けてるだろうな・・・って思い遡って調べたところ、これがビックリ!今回が、実に2004年以来のインタビューであることが発覚!それに加え、ワンマンライブも約3年振りということで、バンドのブレーンであるVo/Gtのカワイシンスケさんに、インタビューを試みた。

―今回は3/30のワンマンライブについてのお話を伺えたら・・・と思っているのですが、その前に、昨年の11月に出たアルバム「express」についても触れさせてください。このアルバムが出て2ヶ月になりますが、周りの評判はいかがですか?

カワイ:「うん、聴いてくれた人達はすごく気に入ってもらえてるみたい。それは、俺達が自主盤でやってた時の様に、肩の力を抜いて、自然体で、音楽を純粋に楽しみながら作れたから・・・それが聴いてくれた人達に伝わったのかな、って感じがする。 」

―1〜2曲目の流れって僕、すごく好きなんですよ。1曲目はオープニングっていう印象を受けて、すごく自然な流れで、2曲目の九龍の王道ナンバーへ入っていくっていう・・・

カワイ:「確かに1曲目はオープニングな感じだよね、(曲の)サイズ的にも。ジャケット見てもらえれば分かるけど、チケットを持ってるじゃない。で、『express』ってタイトルだから、『旅』がテーマのコンセプトアルバムなんですよ。去年、このアルバム制作と平行して各地をツアーで回ってたんだけど、その時の体験が表れた曲が、曲出しの会議の時に出揃ったので、だったらそのコンセプトで行こうかっていう事で、ジャケットにも反映させて。あと、マキちゃんとセイヤくんの曲が初めて音源として入ってるんですよ。 」

―そうなんですか!では今までの作品以上に、メンバー全員の想いが詰まってるアルバムなんですね。

カワイ:「うん、そうだね。プロデュースだったり、ジャケットのデザインだったり、ほぼ全てが俺達の手によって出来たものだから・・・より多くの人に聴いてもらいたいですね。 」

―ところで、九龍が3ピースでやっている理由は?

カワイ:「突き詰めると、ロックバンドの最小公倍数って3人だと思うんですよ。低音と高音とリズムがあれば、大概のことは出来るだろうって俺は思うんで、余計なものを足さなくても伝わるものは伝わると思うし。」

―良い曲、良い歌詞をごくシンプルに伝え続ける、というのが九龍のコンセプトだということでしょうか?

カワイ:「うん、そうだね。飾り付けみたいな部分を取っ払っちゃって、本当に必要な部分だけを残して音楽をやっていきたいな、っていうバンドを始めるにあたっての初期コンセプトが、意外としっかりしてたんだなって最近すごく思う。巷には色々とやる人達もいるけど、そういうのはその人達に任せて(笑)、俺達は俺達で。一聴すると派手さはないかもしれないけど、長く聴いてもらえる自信はあるので、飽きは来ないと思う。スルメ的バンドでやって行きます(笑)。」

―それではそろそろライブに関する話にシフトチェンジしていこうと思うのですが、カワイさんの持つライブというものへの考えを伺えたらな、と。

カワイ:「えーっと、そうですね。音楽を聴く人達の絶対数は減ってないと思うんです。その人達を大きなお皿に乗ったケーキに例えると、それを掴もうとする手が、音楽業界だけだったのが、IT化が進んだ今、IT業界の手も増えてしまった訳ですよ。IT業界の魔手が(笑)。まずそこで、ケーキの取り合いになってしまってる状態なんだけど・・・。そしてそれによって、逆にユーザーからは選択肢が物凄く増えたよね。ここ10年でパソコンも爆発的に普及したし。それに追っ付け追っ付けで、色んなデータや動画がアップされるようになって・・・今まではCD買わないと音源って入手出来なかったのに、今やCD買わなくてもフルコーラス聴けちゃうじゃん、しかも無料で(苦笑)。音楽にボーダーが無くなっちゃった感じだよね・・・だからこそ、ライブっていうものがより重要性を帯びてくるって気が俺はするね。」

―動画などでライブも随分お手軽に見れる様になってしまいましたが、ライブ会場でしか味わえない空気感だったり・・・

カワイ:「匂いだったりね。例えばドラムの振動が、腹にドンってくる感じとかは、やっぱり圧縮された動画からは感じられることは出来ないし、そういう部分をより多くの人に体感して欲しい。家出なくて見れちゃうから確かに便利なんだけど、そうじゃなくって、コンピューターが発達する前からある、ライブの本質の価値観ってものがより重要になってくると思うし、皆改めて知るべき時代になりつつあると思うし・・・。バーチャルで感じられる環境がこれだけ整い過ぎちゃうと見失っちゃうんだけど、バンドはライブやってナンボだし、お客さんがライブを見に来てくれてナンボだし。」

―確かに便利な世の中になったんですけど、皆使い方を間違えてる・・・というと、僕の考えの押し付けな気がしますが、きっかけにしてほしいんですよね。ライブを見に行くためのきっかけに。

カワイ:「そうそうそう、あれはあくまでサンプルなので。このバンドの本当のポテンシャル、本当の姿はどこで見れるんだって言ったら、やっぱりライブになるからさ。そして、その日のライブはその日しかありえないし、演者もお客さんも取り戻す事は出来ないんだよ。そういう所を大事にして行きたいな、って思いながら俺達はバンドやってるしね。お客さんもそうあって欲しい。」

―2004年以来の、久しぶりのワンマンになるわけですが、何故このタイミングになったのでしょうか?

カワイ:「それはねぇ、音源を出したタイミングでやりたかったんだけど、ちょっとウチがバタバタしちゃってて、今まで出来なくて・・・。去年はホント馬車馬の様に働いたよ(苦笑)。1週間に1本以上ライブやってたような状態だったので・・・週間少年ジャンプより出してたからね(笑)。んで今回は、スケジュール的に合ったし、どこかで区切りをつけたいな、とは思っていたし、ell.SIZEも出来たし・・・。もう色んなことが重なって、このタイミングになりました。」

―そう、今回は新しくできた『ell.SIZE』でのライブなんですよね。場内を見た率直な感想をお願いします。

カワイ:「これはもう・・・俺達にピッタリだなって思いました。そして、客席側からも、ステージからも、とにかく見やすい!見やすいってことは、お客さんとコミュニケーションが取りやすいってことじゃん?あとは、サイズが丁度いい。面積自体はそれほど広くないけど、天井が高いから圧迫感が無いし。ほんとダイレクトに伝えやすいと思う。お客さんがどれだけダイレクトに感じられるか、ライブに集中できる環境が整っているかってとこに良し悪しがあると俺は思ってて、そういう部分でもう・・・ホント上手に造ってあるなって。上から目線じゃ言えないけどね、とてもじゃないけど(笑)。音響も照明もステージも、これだけ最高の設備でやらせてもらえる場所なんてそんなに無いからね。これは裏を返せば、お客さんも最高の環境でライブを楽しめるって事じゃん?環境はもうバッチリ!あとはもう、バンドの実力次第だよね。言い訳が出来ないライブハウス。でも俺達はそういうライブハウスが好きだし、だからこそずっと出させてもらってる。」

―ありがとうございます。スタッフの1人としてとても嬉しいです。そのSIZEでのワンマンライブ。九龍は何を見出そうとお考えですか?

カワイ:「うーん、ワンマンライブだからといって特別な気負いがある訳では無いのね、ぶっちゃけた話。イベントでもワンマンでもライブってその日限りじゃない。だから全力を注ぐだけ。俺達が持ってる最高のものを、淀みなくダイレクトに、どれだけお客さんにぶつけられるか・・・」

―伝えていくものは常に変わらない、と

カワイ:「うん、そうだね。やっぱり良い曲、良い歌詞、良いメロディー、良い演奏・・・それだけなんだけどね、極端な話。そして、ライブをこなす度にどれだけ底上げされているのか、俺達が今までやって来た事・・・それを見に来て欲しい。」

―それでは最後に、まだ九龍を見たことがない方、聴いたことがない方、ライブに行ってみようかなって思っている方、またオオスプレスの読者にコメントをお願いします。

カワイ:「うちは、やってることが正しいか正しくないかは別として、すごく真っ当な事をやってると思うのね。装飾は極力排除しながらやって来たバンドだから、ロックバンドの本質ってこうだよね、とか、バンドの気持ち良さってこうだよねってものが、若干でも俺達のライブで感じてもらえると思うの。だから、そういうのを求めてるお客さんにとっては吸引力があると思うから、是非見に来て欲しいです。さっきも言ったけど、バンドの本質がわかるのはやっぱりライブだから。別に振り付けがあるわけでもないし、衣装が煌びやかなわけでもないけど、俺達3人でしか出せない、そして今まで培ってきた俺達にしか出せない何かって必ずあるので、それを見に来て、そして体感しに来て欲しいな。」

九龍 web site→http://www.kowloon-web.com/


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