テレンテクダの美女集団 マザー登場

 4月のある日。私はとら屋の抹茶ういろうとコーヒーでアフタヌーンティーを楽しんでいた。TVではみのもんたが主婦と傷口をなめ合っていた。おばさんのガハハ笑いが画面いっぱいになった時、私は思った。バンドを組もう。それもイカした女バンドがいい。さっそく私のメンバー探しの旅が始まった。

 ふっと立ち寄ったゲーセンでパンチングマシンに中指おったてている女を見つけた。「お前はドラムだ。」

 深夜のミスタードーナツで山のようなエンゼルクリームを1人でほおばっている女を見つけた。「お前はギターだ。」

 パチンコ屋でドル箱を6杯つんでいる女を見つけた。「お前はピアノだ。」

 明け方の湖でタバコをくわえながら1人静かに釣り糸を垂れる女を見つけた。「お前はベースだ。」

 朝日のまぶしい酒場の裏でゲロ吐きながらノラ猫と遊ぶ女を見つけた。「お前はボーカルだ。」

 これでメンバーは集まった。奴らはみんなイカしていた。早速作戦会議を行った。まずはバンド名が必要だ。いろいろ考えた結果「マザー」に決定した。それもM+OTHERでマザー。そう、Mを取ったら他人。M=Music。付かず離れずな名前が気に入った。

 ライブも毎月コンスタントに行うのはやめた。毎月毎月同じネタで似たような客の前で、オナニーみたいなライブをやるくらいなら気が向いた時にやればいい。場所にもこだわらない。その時のテンションが大事。

 ついでにメンバーもパーマネントにするのはやめた。好きな時にやりたい奴がやればいい。マザーのライブにはかわりないのだから。マザーはセッションバンドだ。それくらいいい加減がいい。

 こうしてマザーは動き出した。最初の乗客はプカポン、ゆみこ、あさこ、カッパ姉、まちこ、私だ。マザーはいい加減さが売りだ。そして魂のぶつかり合いが売りだ。そしてその魂の削れていく音をみんなにも聴きに来てほしい。