第5回
まったく早いもので、もう1999年7の月だ。ノストラダムスが予言したこの世の終わりは本当に来るのだろうか?
まだ小学生だった頃、僕はとある雑誌を手にした。それが「ムー」だ。「ムー」は大変興味深い雑誌だ。表紙にはこうある「世界の謎と不思議に挑戦する」と。UFO、宇宙人、妖精、魔術、フリーメーソン…いわゆるオカルトの部類にランクインする話題をダラダラと掲載するこの雑誌は小学生だった少年まさともの心を貫いた。しかし、別に宇宙人が僕の心を貫いたのではない、「ムー」全体から放出される「B級」なグルーヴが僕をエレクトさせたのだ。なにしろ本の題名が「ムー」。
内容は本当の話なのかある種のジョークなのか全く分からないようなネタばかり。意外なことに80年代から「ムー」では「温室効果」「オゾンホール」について警告していたが誰も信じなかったのは仕方の無いことであろう。そして、ノストラダムスの予言についてもアルマゲドンやディープインパクトが流行る遙か以前から「ムー」では壮大なイメージで取り上げてきた。
しかし、ここ数カ月あまり「ムー」紙上にてノストラダムスが大きく取り上げられなくなった。何故か?理由は簡単である。70、80年代に遙か先の話と思われ何のフォローも無くぶち上げられた「1999年7の月」がいつの間にやら来月になってしまったからだ。これは「ムー」に限らずオカルト関係の人間には非常に困った事態である。これまで散々「この世は1999年までですよ」と断言しておいて何も起きず2000年に突入…これは母さんに「テスト?あぁバッチリできた!うるせえなぁ」などと息巻いておきながら2点というハイスコアをマークした英語のテストが見つかったときの状況を考えてもらえれば分かりやすいだろう。(別に僕のことではない)
そういう訳で実はここのところ僕は困惑を隠しきれないオカルト業界に非常に注目しているのだ。まぁ大方の予想通り、古代文明ネタに業界はシフトしていくようで、ノストラダムスの二の舞にならぬよう2000年問題などにはもう触れないようだ。確かに古代文明の話はタイムマシンでも完成しない限り永久に謎のままであり、ママも安心して眠れるだろう。しかし、なんか地味じゃないですか?古代ですよ、コ・ダ・イ。もっとUFOとか宇宙人とか巨大資本陰謀ネタとか読みたいと思いませんか?そこで早速「ムー」を後ろから読み始めると…ありました。
「ペンパル募集」 P・Nキャスパー23歳 女性 UFO、「X−ファイル」、超能力、フリーメーソンなど不思議なことに興味のある方、または体験したことのある方。以上にあてはまる方は、お手紙下さい。(宮城県・AB型)
うーん、これのペンパル募集コーナーが一番カルトかも…。キャスパー、ほんとにそんな奴で良いのか?
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