第8回 『ゴーゴーまさとも!編』
平和な毎日を送る我々に突如として降りかかる恐怖体験。そう、池田貴族あたりが得意とするアレだ。今回は実際に僕の身に降りかかった、恐るべき出来事の話。 ある晩、いつものようにエデンの練習を終え家路についた僕は帰ってから飲むビールのことばかり考えていた。帰宅しシャワーを浴びビールを飲んでいた僕は壁にいつもは無いはずの一筋の黒い影を発見した。 そう、ゴキブリである。 そもそも、僕は虫が嫌いだ。正確に言えば怖いのだ。情けない話だが、かなり怖い。昨年、近所でセミが異常発生したのだがそれは僕にとって現実になったホラー映画のようであった。当時、通りを歩いている時にセミが飛んでくるのが怖くて帰宅時には道をマジでダッシュするというブルーな毎日が続いた思い出があるのだが今年はセミがあまりいないと思ったらなんとゴキブリ(あーもう書くのも嫌だ…)である。どうやら、練習に行く時にベランダの窓を開けていったのでそこから入ってきたようであるが、ゴキブリは一匹見たら100匹いるというではないか!。これは今捕まえなければ大変なことになる…でもマジで怖い…しかし一人暮しの僕は自分の身は自分で守るしかないのだ。僕は奴と戦うために立ち上がった。 生まれてこの方、団地住まいだったのでこれまでゴキブリとの第三種接近遭遇すら未体験の僕は奴を多量のティッシュで掴むという作戦を立てた。これが過ちのはじまりだったのだ。まずは、壁に張り付いているところを捕獲しようと試みる。 「速い!!」 通常のザクの3倍いや5倍はあろうかという猛スピードで奴は機材ラックの裏に逃げ込んだ。機材のラックの裏は狭くて入ることができない場所である。僕は作戦を変更し、市販の中性洗剤をかける作戦に変更した。が、敵も命がけである。どんくさい僕はあっさりと逃げられてしまう。 「チッ」 アムロ・レイばりの舌打ちをする僕を尻目に敵は本棚の裏にもぐりこんだ。これではさすがに打つ手が無い。本棚は本がぎっしり詰まっていてとても動かせる代物ではない。ベットに一人腰掛け打ちひしがれる僕は自分がいつの間にか別の世界に迷い込んでしまったような錯覚を覚えた。時計の針は既に午前4時を回った。 果たして僕は眠れるのだろうか?今こうしている間にやつが卵の一つでも生んだら俺んちどうなる?引越し??様々な想いが走馬灯のように混乱しきった頭を駆け巡る…脂汗が乾く頃僕はひとつの決断をした。 「今からコンビニに殺虫剤を買いに行こう。その間に奴が姿を消して我が家が乗っ取られたら…そう、そうだよバルサンだよ…まだ人類が負けたわけじゃないんだ…」 奴を部屋に残して行くのはかなり気がひけたが、一大決心し近所のコンビニでバルサンとゴキジェットプロを購入。ダッシュで帰宅。
「ごめんよ。僕にはまだ、帰れる所があるんだ」 なぜか、ア・バオア・クーから脱出したアムロが、ララァにむけて言ったセリフを思い出した午前6時であった。 |