社説

 便利な言葉「とりあえず」、日常的についつい使ってしまう。ほとんどの場合がただの口癖だったりするけど、それははっきりとした根拠や自信がないまま何かをやらなきゃならない時、「とりあえず」と文頭に多く使われる。そして何かを始めてしまってもうまくいかなかったり、失敗したときのために用意する方便。言い出す前からの逃げ道。しかし誰でもいつもはっきりと、どうすりゃいいのかなんてわかるわけがない。100%確定された未来があるわけがない。可能性という言葉自体がすでに不確実さを含んでいる。確信できるのは予定が確定されて過去になった時だけ。まわりのムードや雰囲気に流されて何となくという根拠で流される前に、まわりの景色を眺めてみて自分の立っている場所を確認できれば、どこに向かって行くのかすぐわかる。何かをしようとしているのは自分だけじゃない。他を見てもわからないのなら、誰かに聞いてみればいい。使用例、とりあえずバンドでも組んで、とりあえずライブハウスにでも出て、とりあえずデモテープでも作って、とりあえず他の町でもやってみる。それでうまく行かないからとりえずチラシでも作ってまいて、とりあえずストリートライブでもやって、とりあえずうんぬんかんぬん。はっきりとした動機付けもないままやってしまって立ち往生してどうしていいのかわからなくって「とりあえず」やってみる。ライブハウスに限らずよく聞かれる。とりあえずと言っている間に1日が1ヶ月が1年が過ぎていく。ライブハウスに出て1年2年そこそこ巧くはなったけど気がついたら誰もいない客席に向かってライブやってるなんてね。いいバンドなんだけどねぇ、なんてけっして誉め言葉なんかじゃないよ。